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3次元遺跡調査測量

3次元遺跡調査測量の提案


 弊社が提案します 3次元遺跡(遺構)調査測量 は,トータルステーションと写真計測を併用した数値法による3次元 データを分類し,計測する遺構調査測量です。
 従来の遺構の測図方法は2次元にとどまりますが,遺構及び周辺微地形をトータルステーションで3次元測定することにより,XYZ値の誤差を最小限にし,正確な平面位置と標高値を計測できます。また,複雑に堆積している瓦や葺石・石積みなど,多量に出土した遺物や遺構のそれぞれ一個体の形状を計測図化しなければならない場合,写真計測を併用することにより,効率性の良い高精度な測定ができます。
 調査測量で観測したデータは計算処理後CADで図化し,デジタル保存管理することにより,年月が経過しても自由な 縮尺で精度の高い図面を出力できます。
 実測で得たデジタルデータは平面図以外にも利用することができ,エレベーション図や立体図,ワイヤーフレームやコンピュータグラフィックによる遺構の復元図作成,遺構の土量計算時の基礎データとして有効になります。
 これらの調査測量方法は既に,エジプトのアブシール南遺跡丘陵頂上部発掘調査,王家の谷西谷の地形測量及びアメンヘテプⅢ王墓発掘調査(早稲田大学),茨城県霞ヶ浦町柏崎窯跡群発掘調査(筑波大学)でその有効性を評価していただきました。

3次元遺構調査測量と従来の測量方法の比較及び特性(表1)

平面測量 エレベーション 遣り方測量 遺構の土量
(容積)
計算

3次元等高線図
ワイヤーフレームCG 
 デジタル保存
レイヤー管理
 3次元遺構調査測量
(トータル
ステーション)

(写真計測)




 平 板 ×
×
×
×
 トータル
ステーション
平板と併用 × × ×
レベル 平板と併用

×
×
×



 遺跡調査において使用される従来の測量・計測方法と,3次元遺構調査測量を比較した場合,(表1)のように使用する機器数の違いがわかります。これら使用機器数と作業効率は比例し,平板測量器だけでは平面位置の測定はできても,標高値においてはトータルステーションかレベルを併用しなければなりません。
 同じようにエレベーション・遣り方測量に関しても,それぞれの測量方法も個々の測量機器を選択使用し,各測量・ 計測結果は別々に管理されます。
 これら従来の測量・計測方法と,3次元遺構調査測量と比較した場合,現場作業効率の面では作業日数が1/3~1/7(実務経験による工程計算に基づく)に短縮でき,実測した計測データは全点3次元データで記録され,観測当日に図化をすることも可能です。
 またトータルステーションと写真計測を併用することで,それぞれの測量・計測技術の利点のみを生かした計測が実現でき,成果として出力される調査実測図は,報告書原稿と同等の精細さがあります。
 3次元遺構調査測量で得られた3次元データは,現場での観測から図化作成まで,遺構種別・遺構構造の特性別などの一貫した属性管理をおこなうことにより,レイヤー単位のデータ・全データ問わず,全て同一図上にレイヤー管理(階層分け)され必要な情報だけの抽出表現できます。
 以上,提案します3次元遺構調査測量(計測)は,作業効率的にもトータルコスト面でも優れた調査方法です。


3次元遺跡調査測量による平面図 ~ CG へのフロー (例)

分布調査における3次元遺跡調査測量

 分布調査測量は,現在の地表面における地形情報から得られる遺構の遺存位置や形状を詳細に測量・計測することで,埋蔵文化財包蔵範囲の確認や現在の土地利用情報との相対的な関係を把握し,考古学的知見を得るためにおこなう遺跡調査測量です。

分布調査における問題点

 分布調査を実施する場合の問題点は,「掘らずに」地表面の地形だけで遺跡の情報を得るということです。大きく分けて2つの問題点を考えることができます。
 第1に,調査する遺跡が広範囲にわたって分布する場合。
 第2に,地表面に微地形としてしか表れていない遺存状態の遺構の場合。
 上記の2つの問題点いずれの場合でも,問題の解決方法は,測量技術だけでなく,考古学・地形学・地質学・地図学・測量学などの知識が必要となります。
 これは測量機(ハードウェア)や計算・図化システム(ソフトウェア)などの道具があれば調査できるものではなく,遺跡調査においての経験や知識と遺跡と現況微地形との関係性に対しての考察力も必要であり,研究者や調査担当者との円滑な意志の疎通が重要となります。

分布調査測量の提案

 分布調査測量の前提となるのが,公共座標(国家座標)に基づいた調査測量です。分布調査後の発掘調査(本調査)や史跡整備などにおける活用を考慮すると,統一された公共座標(国家座標)に基づいた測量調査が重要であると考えられます。
 同時に,考古学的資料と明治~高度成長経済期以前に作成された地形図や都市計画図などの資料調査も併せておこなうことで,広範囲に遺存する遺跡の分布調査をおこなう場合に的確な地形情報と遺構の遺存状態を把握した測量調査が可能です。

3次元遺跡調査測量の図化表現

 次に調査結果である図面をどのように図化表現するか述べます。
 公共座標を使用して3次元遺構調査測量によって分布調査(予備調査)をおこなった場合,実測した図面を現在の都市計画図上などに同一座標系で図化表現でき,平面位置だけでなく標高値を利用して具体的な地形の傾き(断面)や,遺跡の数値的な標高位置(高低差)も考察することができます。
 また,断続しておこなわれる同じ遺跡の調査の場合,長い年数が経過しても同じ座標系で調査の記録保存をしておければ,整合性が保たれます。
 微地形の考察と実測は,まず調査する対象の微地形の形状を把握するための踏査から始め,現在の地表面で表れている微地形形状の原因を考察します。
 現在の地形形状になった原因が自然の営力によるものなのか,過去の人為的な地形改変なのか,近年の耕作土によるものなのかを考察する上で3次元遺構調査測量による適切な計測技術方法の選択が必要不可欠となります。
 高精度な㎝単位(状況によっては㎜単位)の測量をすることで,実測データを㎝単位から表現可能な精密コンタ図を作成できます。